最近の円安と金利上昇で、外貨に魅力を感じている人が増えてきました。どこまで円安が進むかわからない相場の中、円をドルに替えたいという人も多いでしょう。
投資商品が多く存在する中、年利4%以上の外貨建てMMFが注目されています。
実際にSBI証券で確認すると、平均4.75%と高い利回りで売り出されています。
外貨建てMMFとは、どのような特徴があるのでしょうか。
この記事では、初心者向けにわかりやすく外貨建てMMFについて解説します。
- 外貨建てMMFの特徴
- 外貨建てMMFのメリット
- 外貨建てMMFのデメリット
- 外貨建てMMFが向いている人
以上の内容で解説します。
外貨建てMMFの特徴を解説
外貨建てMMFは、Money・Market・Fund(マーケット・マネー・ファンド)の略で、外貨で運用する投資信託の意味です。
安全性の高い、預金・格付けの高い債権や社債で運用されている |
ポイントが3つあります。
安全性が高い投資信託
高い流動性がある
外貨の種類は主に米ドル・ユーロ・南アフリカランド・トルコリラ等の商品がありますが、この記事では米ドル建てで解説していきます。
リスクの度合いでいうと、預金の次に安全なレベルです。
- 預金
- MMF
- 債権
- 不動産
- 株式
外貨建てMMFは、リスクの高い商品を組み込んでおらず、リスクの低い債権を厳選した投資信託なのです。
外貨建てMMFのメリット6つ
では、外貨建てMMFのメリットは何でしょうか。
- 利回りが期待できる
- 売買手数料が無料
- 少額から投資可能
- 安全性が高い
- 税金が有利
- 流動性が高い
順番に解説します。
メリット①:高利回りが期待できる
現状、外貨建てMMFの利回りは4%を超えています。
特に注目してほしいのが米ドル建てMMFです。
※南アフリカ、トルコリラは高リスクなので解説から除外します。
2022年から急激に円安が進み、外貨建てMMFも上昇しているのがわかります。
MMFは米国債の短期金利を組み入れているので、同じ動きをしているのです。
- 短期金利が上がれば、ドル建てMMFも上がる
- 短期金利が下がれば、ドル建てMMFも下がる
このような仕組みです。
メリット②:売買手数料が無料
外貨建てMMFを購入する場合は、購入手数料がかかりません。
また、換金時の手数料もかかりません。
銀行や証券会社の窓口を利用する場合、購入額に対して約1%の手数料がかかりますが、外貨建てMMFは売買手数料なしです。
ただし、円貨決済を選択した場合は、為替手数料がかかります。
また、保有期間中は、間接的に運用管理費用などがかかります。
メリット③:少額から投資可能
外貨建てMMFは、少額からの取引が可能です。
証券会社によって異なりますが、1,000円以上で取引可能。
例えば、楽天証券の米ドル建てMMF「楽天MMF 米ドル」の場合、最低投資額は1,000円以上1円単位です。
つまり、1,000円から購入できます。
また、外貨建てMMFは、買付・解約手数料が無料のことが多いですが、為替手数料は発生します。
為替手数料は、円貨から外貨建てMMFを購入する際に発生する手数料で、証券会社によって異なりますが、一般的に1円あたり0.2銭から1銭程度です。
メリット④:安全性が高い
外貨建てMMMFは元本保証をする商品ではないことに注意が必要です。
しかし、格付けの高い商品を取り扱っているため、元本割れのリスクはほぼありません。
参考までにゴールドマン・サックス、米ドルファンドの騰落率をみると、安定した純資産の推移を確認できます。
株のような値動きが激しい性質のものとは違うのです。
ほぼ現金に近い安全資産です。
メリット⑤:税金が有利
外貨建てMMFの税金は、以下の2つがあります。
解約時の譲渡所得に対する税金
分配金に対する税金
通常外国株式等のファンドからは配当金・分配金は外国税10%、所得税15.315%、住民税5%がかかります。
しかし、外貨建てMMFは、外国税10%がかかりません。
解約時の譲渡所得に対する税金
外貨建てMMFを解約した場合、為替差益が発生することがあります。
為替差益とは、外貨建てMMFを取得した時の為替レートと、解約時の為替レートの差額です。
為替差益は譲渡所得として扱われ、分離課税の対象となり、確定申告をすることで、20.315%の税率で課税されます。
なお、ここが大きいメリットですが、他の投資信託などの譲渡損失と損益通算をすることで、税負担を軽減することができます。
ちなみに外貨預金の場合も譲渡所得になりますが、損益通算できません。
メリット⑥:流動性が高い
購入した外貨建てMMFはいつでも売買が可能です。
外貨定期預金のように満期がありません。
また、途中解約によるペナルティもなしです。
一方外貨定期預金は中途解約による手数料が発生します。
いつでも売買できるメリットは大きいといえます。
外貨建てMMFのデメリット
メリットばかり協調しましたが、デメリットもしっかり理解する必要があります。
- 為替変動のリスク
- 元本保証はない
- 信託報酬がかかる
順番に見ていきましょう。
為替変動のリスク
外貨建てMMFはドル建てで運用されるので必ず為替の影響を受けます。
これは日本人である以上避けられないリスクです。
利回りが高い時期に始めた場合、急激に円高になれば、損失をだす危険性もあります。
元本保証はない
外貨建てMMFは、短期の金融商品に投資して運用していますが、その金融商品が元本割れを起こす可能性はあります。
また、為替レートの変動によっても、元本割れする可能性があります。
例えば、米ドル建てMMFを100万円で購入したとします。
その後、米ドルの為替レートが下落し、100万円で買った米ドルが90万円になってしまったとします。
この場合、10万円の元本割れが発生します。
外貨建てMMFは、元本割れのリスクを避けるために、短期の金融商品に投資し、為替レートの変動を抑えるように運用されています。
しかし、それでも元本割れのリスクはゼロではありません。
外貨建てMMFに投資する際には、元本割れのリスクを理解した上で、投資することが大切です。
信託報酬がかかる
外貨建てMMFは投資信託ですので、信託報酬が必要です。
一般的に運用会社によって異なりますが、約0.7%〜1%がかかります。
米国債の平均利回りは5.5%に対し、外貨建てMMFの利回りは4.8%と0.7%と低くなっています。
これは外貨建てMMFは本来5.5%である利回りから0.7%を差し引いた数字なので、信託報酬分を考慮した提示になります。
ただ、実質コストを差し引いても4.8%の利回りがあるのは魅力です。
外貨建てMMFと外貨預金の違いをもう一度確認しましょう。
似ているようで、性質はまったく異なりますので、外貨建てMMFの優位性がわかると思います。
外貨建てMMFが向いている人
では、外貨建てMMFはどのような人が向いているでしょうか、
外貨建てMMFが向いている人は、以下のとおりです。
- 元本割れのリスクを理解した上で、短期的な資産運用を行う人
- 円建て資産に加えて、外貨資産を保有したい人
- 投資初心者で、手間をかけずに投資したい人
外貨建てMMFは、元本割れのリスクがゼロではありませんが、短期の金融商品に投資し、為替レートの変動を抑えるように運用されているため、比較的安全に運用することができます。
また、買付・解約手数料が無料のことが多いため、手間をかけずに投資を始めることができます。
いずれにせよ、超短期で売買するものではありませんし、5年・10年でもつ商品でもありません。
まとめ:高い金利に惑わされず、リスクを把握しよう
この記事では以下のメリット・デメリットを解説してきました。
- 利回りが期待できる
- 売買手数料が無料
- 少額から投資可能
- 安全性が高い
- 税金が有利
- 流動性が高い
投資初心者でも比較的安全でリスクの低い投資です。
一方、メリットばかりではありません。
- 為替変動のリスク
- 元本保証はない
- 信託報酬がかかる
このリスクを許容できるのあれば、外貨建てMMFは、投資先として問題ないでしょう。
外貨建てMMFは、手間をかけずに投資を始めることができるため、投資初心者にもおすすめの投資商品です。
しかし、元本割れのリスクがあることを理解した上で、投資するようにしましょう。