日本人の投資に対する意識が徐々に高くなっている昨今、いまだ貯蓄率の高さが目立ちます。
利息がほとんど付かない預貯金は、果たして魅力的なのでしょうか。
この記事では現金・預貯金をそのまま寝かしておくリスクについて、わかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 貯金だけに頼るリスクとは
- 日本と海外の個人金融比率
- 投資のリスクとは
預金に頼る5つのリスク
昨今、日本を取り巻く経済環境は悪くなっています。
その理由は、増税・円安・物価高が大きな要因です。
個人の負担が大きくなり、将来に不安を抱える人も多いはず。
その中で、直面している最も重要なリスクについて解説します。
銀行預金に頼るリスク
1985年〜1990年以前の普通預金の金利は、約2%以上もあり、預金しておけば着実にお金が増える時代でした。
100万円預けておくと1年で2万円増える計算ですね。
銀行預金をしておけば高い金利で徐々に資産が増えるので、あえて投資(資産運用)する必要がないのです。
しかし、1992年から急激に金利が下がってきます。
ちょうどバブル崩壊の時期ですね。
では、現在の平均預金金利をみてみましょう。
現在の普通預金金利はたったの「0.001%」です。
100万円預けていても1年で10円しか増えません。
では、預金金利が低いと何がリスクなのか。
それは物価上昇に伴い、お金の価値が下がっていることです。
お金そのものは減りませんが、「お金の価値が」下がっているのは事実です。
預ければ増える良い時代は終わったのです。
日本の平均年収は30年横ばい
日本の平均年収は443万円と言われています。
長い期間横ばいが続いているのを下記の表でわかると思います。
出所:厚生労働省 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)
なぜ、日本の年収は上がらないのでしょうか。
いくつか理由があります。
日本は年功序列や終身雇用が当たり前の国で、思いきった人員削減や解雇をできない企業が多いことも要因
企業の内部留保の額が年々増加傾向です
こいった利益余剰金を人件費に回すことで 賃金アップが見込まれますが、改善される見込みは少ない
簡潔に言うと、企業が成長していないのが要因
主要国と比べると大きく差を広げられている
日本の最低賃金がベースアップしましたが、物価上昇に追いつけるほどではありません。
インフレリスク
物価というのは徐々に上がって行くのは必然的なものです。
参考までに、昭和40年に1万円で買えた物が、今では2万円出さないと買えない水準です。
インフレには2種あり、「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
- 良いインフレは、景気上昇とともに企業利益が上昇し、対価として積極的に従業員の給料を上げること
- 悪いインフレとは、原材料コストが上昇することで価格に転嫁され状況です。
必然的に物価上昇となるわけです。
まさに今の現状は、悪いインフレの状況です。
しばらく原材料の値上げにより、企業ではコストアップが利益を押し下げていく傾向が続きます。
増税リスク
一般庶民が身近に感じる消費税も年々上がっています。
1989年から導入され、2023年以降は15%になる可能性がでてきました。
個人にとって、増税はデメリットしかありません。
では増税は、どのようなメリット・デメリットをもたらすのでしょうか。
メリット
- 国は安定した税収が見込める
- 地方税収の安定にもつながる
- 現役世代の負担を軽減する
デメリット
- 景気悪化と買い控えでデフレ悪化
- 中小企業を圧迫すし、設備投資ができない
- 低所得者への負担がさらに重くなる
消費税増税は、社会保障の充実や財政健全化のために必要な政策の一つ。
しかし、個人(低所得者)への負担増など、デメリットしかありません。
為替リスク
2023年9月時点、為替レートは(1ドル/約146円)
2022年1月には115円台だったのが急激に円高になりました。
日本は多くを輸入に頼っています。
生活に必要な身の回りの製品が軒並み値上がりし、想定外の出費がかさむことになります。
賃金が上がらないのに、出費が増える悪循環。
しかし、外貨を保有している個人投資家は為替差益がでるわけです。
日本円しか持っていない場合、こういった恩恵を受けられないのです。
預金以外にも金融資産を持つ重要性がありますね。
日本人はなぜ投資をしない?
日本の投資教育事情は欧米と比べて遅れています。
では、投資に積極的な海外の金融保有資産(個人)はどれくらいでしょうか。
下記の図は、米国・英国・日本(現金・預金・債権・株式)の増加を図で表したものです。
米国が圧倒的に多いのは、投資によるリターンによるものです。
日本は長い期間、預金・現金に偏りすぎて、積極的に資産を増やそうとしなかったことが考えられます。
なぜ、日本人は投資をしないのでしょうか。
大きな要因は4つ考えられます。
- 損をしたくない
- 投資の知識がない
- まとまった資金がない
- 身近に投資をしている人がいない
順番にみていきましょう。
損をしたくない
日本文化や教育の影響により、多くの日本人はリスクを避ける傾向があります。
得するより、損をしたしたくないと思うのは国民性ともいえます。
銀行預金と比べ、投資には元本保証がないため、損失をだすことも事実。
確かに元本を下回ることはありますが、長期・積み立て・分散で、運用する知識があれば、リスクを許容できるのです。
投資の知識がない
日本の場合、投資に関する知識は社会人になってからが多いと思います。
高校で金融教育が義務化されましたが、最近の話です。
知識や経験が不足しているため、リスクを理解しにくいという問題があり、過剰な不安感を抱きます。
投資にはリスクマネジメントや市場の理解が必要であり、これらを許容できる知識が必要とされます。
参考までに金融庁が作成した動画があります。
>>>「生徒用】高校生のための金融リテラシー講座「貯める・増やす」~資産形成」
基礎の部分では大変勉強になるお話でした。
まとまった資金がないから
政府の調査によると、投資をしない理由として最も多いのが「資金がないから」で56.7%
投資を始めようとする場合、大金を用意しないとできないと思いがちです。
これも知識不足ですが、投資信託では100円から始めることができ、少額だけど少しづつ複利の効果で増やすこともできます。
家計を見直して、少額積立投資を考えることも可能です。
身近に投資をしている人がいない
人は周りの行動や価値観に影響を受けやすいものです。
投資は怖いと言う人が周りにいれば悪い影響も受けやすいのが実態。
ひと昔前、「投資はお金持ちがやることだ」という根拠のない噂もあったくらいです。
しかし、身近に投資している人がいれば、成功体験やアドバイス・情報を得ることで、投資へのハードルが下がります。
また、興味関心があれば、インターネット等の媒体や書籍を活用して知識を身に着けることは可能な時代です。
投資のリスクとは
本記事では、貯金だけに頼り、投資をしないリスクをお話してきました。
では、投資にはどんなリスクがあるのでしょうか。
根本的なリスクは2つあります。
- 投資元本保証がない
- 投資を継続できない
順番にみていきましょう。
投資元本保証がない
銀行預金と違って、元本保証がないのが投資です。
特に、株式や投資信託などの値動きが激しい商品は、元本割れのリスクが高いといえます。
しかし、元本割れのリスクがあるから投資をしないと言うのは、単なる知識が不足しているのです。
そこで、複数の投資対象を選び、分散投資をすることでリスク分散できます。
例えば、国内外の株式・債権・コモデティー・金などに分散投資すれば、リスクを許容できるでしょう。
継続できないリスク
投資は長期的な視点で行うことが重要です。
値上がりしているときは精神的にも安定していますが、急な値下がりなどの影響で、資産が目減りするのは誰しも耐えきれない心境になり、投資を続ける気持ちになりません。
多くの人がここでやめてしまうのです。
しかし、長い目でみると資産を大きく増やすこともできます。
参考までに金融庁がだした投資シミュレーションをみて下さい。
毎月の積み立て額を3万とし、年利4%と仮定。
投資期間20年でシミュレーションしました。
20年後には元本720万円、運輸利益380万円のシミュレーションです。
ただ、絶対ではありませんので、参考までに。
まとめ:投資をしないリスクは大きい
ここまで個人が生活する上での様々なリスクについて解説しました。
リスク軽減の一つの手法として、投資を検討するべきです。
ただ、投資はギャンブルとは違い「一発逆転」はありません。
正しい基礎知識を身に着けることをおすすめします。
まとめると、
- 貯金だけに頼るリスクは大きい
- 海外では資産運用は当たり前
- 投資のリスクを知って、余剰資金で始めよう
早いうちに投資を始めた方が断然有利です。
なぜなら複利効果が最大限活かせるからです。
様々なリスクを軽減できる方向として知識を身に着けることが最も重要です。